特別寄稿 中原 勇貴 選手(アヴェルダージ熊本BS)〜ビーチサッカー連盟だより Vol.54~

  • 掲載日:2022.08.01
  • カテゴリ:蹴球通信
全国のビーチサッカーファミリーの活動をリレー形式で伝える【ビーチサッカー連盟便り】(「JFA News」『蹴球通信』欄内)。2022年7月号は、特別寄稿として、アヴェルダージ熊本BS(九州ビーチサッカー連盟所属)の 中原 勇貴 からメッセージをいただきました。

⚽ ビーチサッカー × 脳腫瘍

  アヴェルダージ熊本BS 中原 勇貴

私はビーチサッカーを始めて10年目になります。
この10年でたくさん経験することができました。関東の東京ヴェルディBSでプレーしたこと、同チームのキャプテンとして日本一を取ったこと、ビーチサッカー日本代表に選出されたこと、FIFAビーチサッカーワールドカップのアジア予選で戦ったこと。たくさんのことを経験し、今は地元熊本のプロビーチサッカーチームで日本一を目標にプレーしています。2019年に熊本に戻り、3年になりますが、苦しい経験をしました。
それは「脳腫瘍」です。
2021年2月に見つかり、余命5年~10年と言われました。神経膠腫グリオーマという、脳内神経を覆う癌で、腫瘍を取ることで何かしらの神経を失うことになります。私は言語障害、記憶障害、右半身不随の神経でした。すぐ手術をすることになったのですが、方法が2つありました。
①全身麻酔で全ての腫瘍を取り切る
神経も取るので何かしらの障害が残る。しかし全身麻酔のため、目が覚めた時は終了している。
②腫瘍を取る時は意識を戻し、喋れているか、記憶があるか確認しながら摂取すること
脳に麻酔はかけるが目は開いており、話しながらの手術になる。大事な神経を覆う腫瘍は残すが、再発リスクは高い。
私は②を選択しました。
この手術は生まれ変わっても二度としたくない激痛でした。取り乱したり意識が飛んだりと12時間の手術を経験し腫瘍を95%取りました。しかし、5%は残っているので、抗がん剤治療や放射線治療、月1回のMRI再発検査はこれからずっと続きます。
それでも、家族やたくさんのサポート、ビーチサッカー仲間のおかげで、プレーできる体に戻ることができました、そして、仲間の大切さを知ることができました。
今年はコロナ禍を乗り越え、九州リーグや全国大会も再開予定です。日本トップリーグもプレ大会(第1回Beach Soccerトップカテゴリー強化リーグ2022/JBSF後援として始まり、日本のビーチサッカー界も再出発する年になりました。
しかし、私はいつまでビーチサッカーを続けられるのか分かりません。
だからこそ一日一日を大切に、日本一を取るために人生を懸けて努力します。熊本で優勝し、まずは九州でビーチサッカーをもっと有名にしていくことを目標とし、後悔することなく、努力していく一心です。
私の経験が少しでも広がりますように。
 
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