2021年09月21日、JFA公式ウェブサイトにおいて、FIFAビーチサッカーワールドカップロシア2021(8月19日~29日)で準優勝に輝いた日本代表チームの主力として活躍した赤熊卓弥選手(ラソアペーゴ北九州)、奥山正憲選手、大場崇晃選手(共にレーヴェ横浜)のインタビュー記事(前編)が掲載されました。
○オンライン取材日:2021年9月9日
――まずは大会全体の総括をお願いします。
奥山 新型コロナウイルスの影響でチームの活動が制限される中、スタッフ、選手ともモチベーションを落とさずに大会に臨むことができました。決勝まで勝ち上がれたのはメディカルスタッフやトレーナーを含めたチーム全員が一つの方向に向かって取り組めたこと、新型コロナウイルスの陽性者も出さず、大会前に松田康佑選手が離脱した以外はけが人もなく、累積警告による出場停止もなく、常にベストメンバーで戦えたことが大きかったと思います。
赤熊 活動が制限される中で国内合宿をたくさんさせてもらったり、大会期間中はトレーナー2人体制だったり、いろいろなことにチャレンジしていただいたことが、準優勝という結果につながったと思います。応援してくれた方も大勢いますし、“感謝”という言葉が当てはまる大会でした。
大場 難しい状況の中で無事に開催され、無事に終えられたこと、チームから感染者を1人も出さず無事に帰国できたことが一番よかったと思います。感染リスクがあり、普段とは全く異なるレギュレーションやスキームのためストレスを感じやすい状況でしたが、それを感じさせないようスタッフが配慮してくださったので、いい状態で大会に臨むことができました。
――赤熊選手は通算10得点でブロンズスコアラー賞を獲得しました。
赤熊 チームメートやスタッフのおかげで取らせてもらった賞ですし、前回大会よりも多くのゴールを奪えたことはうれしかったです。ただ、得点王になりたいと公言して臨んでいましたし、目標としていた数字には到達できなかったので、悔しさもあります。
――グループステージからタフな試合が続きました。印象に残っている試合を教えてください。
奥山 初戦のパラグアイ戦ですね。いろいろな状況を想定していたんですが、早々に0-3という想定外の展開になりました。そこからチームが諦めずに一つになり、赤熊選手と山内悠誠選手が得点を重ねて逆転勝利を収めることができました。チームとして自信がつき、勢いに乗ることができました。
赤熊 僕は準々決勝のタヒチ戦ですね。最後の20秒ぐらいで勝ち越されたんですけど、大場選手が同点ゴールを決めてくれて、延長戦で勝ち越すことができました。銀メダルを獲得するためにはすごく大事なゴールでしたし、パラグアイ戦で得た自信がこの逆転劇につながったと思います。
大場 僕は決勝のロシア戦です。グループステージで1-7と大敗した後、田畑輝樹コーチが「ピッチで負けた借りは同じピッチで返そう」と言い続け、決勝では戦略をガラリと変えて、それによって大きな手応えを得ることができました。もう一歩、届かなかったのは僕を含めた選手の力不足でしたが、次につながる試合だったと思います。
――赤熊選手が挙げてくれたタヒチ戦での大場選手の同点ゴールは感動的でした。
大場 正直、あまり記憶がないんです。勝ち越された時、僕は交代で入るためピッチ脇にいたんですが、ゴールが決まった時に一瞬、しゃがんでしまったんですよ。でも、その瞬間にラモス瑠偉さん(前ビーチサッカー日本代表監督)の顔が浮かんできて「お前、諦めるなよ!」と喝を入れられたような感覚になって。再開されてボールが出てきたらシュートを打とうと考えながら歩いてポジションについたら、茂怜羅オズ選手と一瞬、目が合ったので「これは間違いなくパスが来るな」と感じて。そこから得点を告げるホイッスルが鳴るまではほぼ記憶がないです。体が勝手に動いた感じです。
――ボールは相手の股間をすり抜け、ワンバウンドしてゴールに吸い込まれました。
大場 神様からの贈り物ですね。ああいうシュートはけっこうふかしてしまうんですが、あのシュートは自分の力だけでなく、みんなの思い、あの場にいなかった人の思いが乗り移って決めさせてもらったと思います。
FIFAビーチサッカーワールドカップロシア2021
大会期間:2021/8/19(木)~2021/8/29(日)